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ボツ個展
「海が見える書斎」
ボツ個展
最初に断っておくが、ボツといってもまさか出来の悪い絵を人様に見せようなどと不埒なことを考えているわけではない。私の絵は挿画である。つまり文章とセットでないと成立しない。そういう前提がある。などとえらそうに言ってはみたが、正直に告白すると、出来がいいとは言えない文章を取り繕うのと、記事の見映えををかさ増しする目的で絵や写真を添えているわけだ。それぞれ単体で勝負するには力足らずなのである。いばって言うようなことじゃないが。だから絵が先で、それにたまたま見合う文章があったので使う場合もあれば、はじめに文章ができていて、それに合うように絵を描いたという場合もある。ここでボツになる絵というのは、文章の挿画として何パターンか描いてみたが採用されなかったもの、ただ描きたいものを何も考えずに描いたけれど、その後、どこにも使用用途が見つからずにストックされているもの、のことである。実際、そういう絵は多数存在する。
これがまた貧乏性の悲しい性(さが)で、純正プロの画家さんのようにダメなら破いて捨てるなんてことはできない。ボツといってもそれ相当の時間を費やしているわけで、完成した作品の良し悪しがすべてなどというプロの掟は私には通用しない。半素人はそのへん怖いもの知らずなので、ダメでも使われなくても、まじめにつくったものたちは愛おしいのである。だからこの場を借りてひっそりと、もしよろしければお目汚しをという気持ちをこめて見ていただけると幸いである。ただ今後、ここに掲載した絵が運よく添い遂げられるような文章に出会った場合、再登場する可能性もあることをご了承願いたい。そんなことはたぶんないとは思うが。
悪くはないのだけど、使い道に困る一枚。
ほとんどを紙の切り貼りで作って、それに水彩ですこし色を塗っている。外の景色と左側の植物と画架の絵と額縁の背景は絵の具で上塗りしているのがわかる。わかるって他人事みたいだけど、なんせ三十年近くも前のものだから自分でもどうしてこんなのを描いたのか思い出せない。シワがあったり隙間があったり表面に凹凸があるのは、ぜんぶ紙を切って貼ったところで、そういう肌触りというかテクスチュアを出したくて、あのころは貼り絵にこだわってたんだよな。たぶんなんかの雑誌にこういう写真が載っていて、それを真似て描いたんだと思う。
なんだかものすごく真面目に作っているけれど、風通しがよくないのは密にやりすぎているせいで、もっと力を抜いて作ればいいのにと思う。それと技量がないのを方法にたよってごまかしている感じが否めない。絵が下手くそなら悩んでないでやめてしまえばいいのに、何かに一縷の望みを託していたかったんだね。しかし、いまならこういうのは描かないよな。状況はそれほど変わっちゃいないけど。若き日の鬱屈を感じる一枚です。
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プランカ Planca
挿画やデザインを担当。デジタルツールを使いこなせなくて困っている、超アナログ人間。
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