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東北の逸品
気仙沼の骨骨(コツコツ)おつまみサーモン
東北の逸品
ちょうどその日は歯に詰めた銀がとれてしまって、病院で再装着をしてもらったばかりだった。これから三十分間はものを食べないようにしてくださいと言われたので、帰宅してもうそろそろという時間になるのを待って酒を飲みはじめた。家内がどこで買ってきたのか知らないが、菓子入れのなかにこれがあるのを見つけて、しめしめと酒の肴になってもらった。まだ夕方の四時半だった。
魚の骨というだけで硬くて痛いイメージがある。しかも中骨である。なにしろ昼酒のときに食べた鶏の唐揚げでやられた銀である。おそるおそる詰め直した歯で噛んでみて「あれ?」と驚く。骨も身も区別がつかないほどの噛み心地で、力んだ下あごが拍子抜けするほどだった。水煮の鮭缶に入っている中骨と同じくらいの柔らかさなのである。甘しょっぱく、かすかな燻製の風味もあって、まるで圧力釜で煮込んだ鮭とばみたいだ。

鮭の中骨とその周りについた身の調理のしかたは、さすがに缶詰を手がける会社の技術という感じがする。だから調子に乗ってどんどん酒がすすんでしまう。気がついたときには一袋まるまる食べ切ってしまっていた。
とにかくこの商品のポイントは宮城県産の養殖銀鮭を使ってあることで、これがアラスカ産とかロシア産とかだったらぜんぜん話がちがった。家内もたぶんそれを見て買ったのだと思う。地元の食べ物にはみんな思い入れがあるから、県産の食材で同じ県内の製造者がつくった商品というのは、それだけで信用の証になる。

骨だけじゃなくて銀鮭の身のほうでもっと大ぶりなやつを熱いごはんにのせたら、朝飯がすすむにちがいない。気仙沼ほていは魚の缶詰類も充実しているが、同じ調理のしかたでサバとかイワシのつまみをつくってくれたら、そっちはそれでいい酒肴になりそうだ。こんなわがままを言うのも空想するのも簡単で自由で、だから酒に酔うのは楽しいのである。
・気仙沼ほてい株式会社 宮城県気仙沼市本浜町1ー43ー1
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塵野三月 Mitsuki Jinno
当サイトの文章とデザインを担当するインドア派。
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